茨城県鉾田市 有限会社栗田産業 栗田和也社長

カンショ収穫や土壌改善に
バイブロスーパーソイラーが
能力を発揮

㈲栗田産業 栗田和也社長

日本一の野菜産地・鉾田市

 「日本で一番やさいをつくっています」とアピールする茨城県鉾田市。県都の水戸市や筑波研究学園都市、鹿島港までは30km圏内、東京からはおよそ90kmの圏内にある。鹿島灘に沿って南北に長い同市の内陸部はほとんど平坦地で、温和な気候と相まって有力な農業地を形成。市町村別の農業産出額は全国4位の641億円を誇り、野菜(340億円)とイモ類(153億円)では堂々の1位にランキングされている。ちなみにメロン、カンショは全国1位、イチゴ2位、ホウレンソウ3位、トマト4位、豚8位、ニンジン9位、ダイコン11位、バレイショ30位、ヤマノイモ34位と、大消費地の首都圏をバックに、さまざまな農産物の供給元の役割を果たしており、他方、アジア諸国から数多くの農業技能実習生を迎え入れている地としても知られている

試験圃場で効果を確認し現場供給

 今回お訪ねした㈲栗田産業(鉾田市勝下新田・栗田和也社長)は、鉾田市の施設園芸農家を主体に肥料、農薬、種苗などの資材類を販売する企業で、先々代からは80年余、また、現在の業態となってからは50年の歳月を数える。先代の商いの理念は「自分が知らないことを農家には薦められない」という良心であり、それを受け継ぎ、現・和也社長も納得できないものは売らない主義を通している。自ら有する試験圃場で各種資材の効果を確認し、その上で現場におろす技術提案型の営業を続けてきたのも、確たる信念ゆえである。

同社の店舗前で

 「肥料を母体としていますが、得意なのは施設園芸のメロンやイチゴの分野で、露地物は比較的最近です」とのこと。また、「私自身は道具が大好きで、だからよけいな買い物もして。表においているトラクタに装着したつる刈り機もその1つ」と笑う。

道路をはさんだ店舗の対面にはモデルハウスを複数おいている

カワベ製品が問題を解決

 川辺農研産業㈱との出会いは、懇意にしている種苗会社とアスパラガスの収穫作業の機械化について協議する中、カワベの機械に着目したのがきっかけ。「それで川辺農研の営業の方、エンジニアの方に来て頂いたんですが、さすが畑作事情に詳しくて、参考になるお話を色々うかがった」。 一方、試験圃場で10㌶のカンショ栽培を進める中、土壌改善を図るための手立てを検討し、プラウによる天地返しではない方法として「単純に土を揺すってやって、それで排水の改善や耕盤破砕ができるものを」と考え、今年1月にカワベのバイブロスーパーソイラーSV2―BDを導入。併せて5月には掘り取り用のアタッチメントD900およびゲージ輪も購入した。

カンショの掘り取り バイブロスーパーソイラー SV2-D900

 異常気象に見舞われることの多い昨今、今年は夏場の大雨で近隣の圃場は2度も冠水。「こんな経験は初めてで、幸いカンショが枯れるまでには至らなかったんですが、収穫の段になって、マルチが取れない、あるいは専用の収穫機じゃ全く歯が立たないという現象が起きた。掘り上げても土塊の中にイモがある状態で、農家さんもホントに困っていました」。「で、それまでカワベの機械のことは忘れていたんですが、使えるんじゃないかとアタッチメントを付けて作業したら、土の塊を砕いてイモが出てきた。専用収穫機の10倍くらいの速度で、作業を止めることもなく進められたんです」。

 栗田社長は、今年は常にない天候の下での作業で、トラブルが多く見られたとはいえ、収穫専用機の機上選別に関わる人の作業効率や、機械の初期投資費用の問題、この地域で一般的に普及しているトラクタの馬力レンジなどを勘案すれば、バイブロスーパーソイラーによる機械化体系を新たに提案していける可能性は大きく、収穫専用機と戦える能力があると指摘しつつ、同機に対して熱い視線を注ぐ。

 ちなみにバイブロスーパーソイラーSV2―BDは、カワベ独創のバイブロ方式で50㌢の深さまで一挙に破砕する能力を持っており、硬盤が硬く、排水性、透水性が悪い土壌の深層まで同機が土を抱えて上下振動を加えることにより、排水性・透水性を大幅に改善する。機体寸法は全長900×全幅1400×全高1200㍉。全重230㌔で、最大耕幅は1300㍉。

硬盤破砕仕様 バイブロスーパーソイラー SV2-BD

 昨年から今年は肥料そのほかの資材価格が上がり、農家の経営は当然ながら厳しさを増している。栗田社長は「ムダな資材を減らしてコスト低減を図るための工夫はしていいが、手抜きはダメ」と話し、栽培基本項目の励行や、増収・作物の高品質化のための探求心を農家に促す。植物を健全に育てるという農業の本質よりも、金の出入りにエネルギーを傾けがちな農業者に苦言が出てくるのも、同社長ならではというところだろう。

農業への貢献に積極姿勢

 ▽ドローンによる農薬散布が広がってきているが、問題は散布する噴口の機能がまだ十分ではない▽ドローンよりは地上散布のほうが作業精度が高い▽自動追従型の不整地走行できる車両に積載すればより多くの農薬が積めるし、散布そのものは人がやればいい。やたら金額が高くなるロボットよりはよほど現実的―など、氏の口からは現場事情をおさえた機械開発のヒントが色々と飛び出す。

 実際、農薬メーカーと共同開発を進めている製品があるとのことだが、カワベの各種製品をさらに広く活かすための案も腹中には潜んでいるようだ。「そろそろ工夫、創案する頭のほうが衰えてきている」と冗談交じりに話すものの、栗田社長の農業活性化、農家経営にプラスする活動に対する意欲は、恐らく萎えることはない。

道路をはさんだ店舗対面にある同社の物産センター
ユーザー 有限会社栗田産業 栗田和也 社長
地域 茨城県鉾田市
主な用途 土壌の硬盤破砕・カンショの掘り取り
機種名 SV2-BD・SV2-D900

スーパーソイラー
硬盤破砕・ニンジン・サトイモ掘り仕様

カワベ広報室から

第2回の川辺Web通信では、「ご愛用者の声」として茨城県鉾田市の㈲栗田産業 栗田社長に製品の活用や生産状況などのお話を伺いました。栗田社長の"先代の自分が知らないことを農家には薦められない"という商いの理念受け継ぎ"納得できないものは売らない主義を通している"というお言葉が大変印象に残りました。自ら保有する試験圃場で各種資材の効果を確認し、その上で現場におろす営業をされているのもその証だと感じました。私どもも皆様のお話を伺うたびに製品開発・改善継続の大切さを実感いたします。

製品及び部品価格改定のご案内

昨今市場における原材料の価格高騰、製造・物流等のコスト上昇が継続しており、弊社においても2024年1月1日より製品および部品の価格改定を実施させていただくこととなりご案内させていただきます。
何卒ご理解をいただき、今後も引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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